院長コラム

2015/03/15 平成27年度 静岡県獣医臨床研究会 発表しました 3月静岡
No. 20

テルミサルタン(ARB)は、ネコ鼻炎症状を緩和する
◯樋渡 敬介1)、土井 公明2)、水野 理介3)、横須賀 誠4)

1) 御殿場インター動物病院(御殿場市)2)どいペットクリニック(藤枝市)
3)東大大学院農学生命科学研究科獣医薬理学教室
4)日獣大獣医学部獣医学科病態獣医学部門病態解析学分野
Japan Veterinary Microcirculation Research Center (JVMRC)

 小動物開業獣医師は、ネコ鼻炎症状を臨床の場で多く経験する。鼻炎治療では、ネコのおかれている多様な環境因子に依存して、ステロイドや抗生剤の長期投与が必要とされる場合がある。これら薬剤は、副作用や生体の恒常性維持に重要な働きを果たす腸内フローラの崩壊を惹起する可能性が考えられる。今回我々は、鼻炎症状に対する治療を1年以上受けていないネコ8例(2〜12歳)を対象として、アンジオテンシンIIタイプ1受容体阻害薬であるテルミサルタン(ARB)とプレドニゾロン・抗生剤とを併用したグループ4例と、ARB単独で使用したグループ4例に分けて薬剤効果を比較検討した。薬剤効果の評価は、治療開始3,7,14,28日目に鼻水(量、性状)・鼻閉・嗅覚障害を(3,2,1,0)の4段階評価として、来院時に効果判定を行った。治療開始前半において、ARB単独投与グループでは、併用したグループとほぼ同等の改善効果が認められた。治療開始後半において、ARB単独投与グループよりプレドニゾロン・抗生剤と併用したグループの方が安定した症状が得られたが、ARB単独投与グループでも同等の症状が認められる症例もあった。ARBは微小循環を改善することが知られており、今回のネコ鼻炎ではARBが一時的に鼻腔内の血流を促進させて鼻水をウッシュアウトさせることによって鼻炎症状の緩和に貢献したと考えられた。今回の結果によって、ネコ鼻炎において治療初期と定期的なARBの投与は、ステロイドや抗生剤の投与量を減らし、これら薬剤に由来する副作用や腸内フローラ崩壊を予防することに有効である可能性が示唆された。

微小循環 猫 ネコ アンジオテンシン ARB テルミサルタン セミントラ 鼻炎 腸内フローラ Glymphatic System The Nasalymphatic pathway PPARγ

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