院長コラム

2020/02/06 WHO 新型コロナウイルス、現段階でペットが感染している証拠はない
No. 43

2月5日、WHO(世界保健機関)は、新型コロナウイルス(2019-nCoV)特設サイトで、現段階で、ペットが感染している証拠はないと発表しました。 ただし、ペット接触後の石鹸手洗いは推奨しています。

Can pets at home spread the new coronavirus (2019-nCoV)?
At present, there is no evidence that companion animals/pets such as dogs or cats can be infected with the new coronavirus. However, it is always a good idea to wash your hands with soap and water after contact with pets. This protects you against various common bacteria such as E.coli and Salmonella that can pass between pets and humans.

現在、犬や猫などのコンパニオンアニマル/ペットが新型コロナウイルスに感染しているという証拠はありません。ただし、ペットとの接触後は石鹸と水で手を洗うことをお勧めします。これにより、ペットと人間の間を通過する可能性のある大腸菌やサルモネラなどのさまざまな一般的な細菌から保護されます。

WHO(世界保健機関)サイト
https://www.who.int/

写真1

2020/01/10 A case report of applying an orexin receptor antagonist to sleep disorders in elderly dogs
No. 42

A case report of applying an orexin receptor antagonist to sleep disorders in elderly dogs

Hiwatashi Keisuke
Animal Medical Center of Gotemba Inter, Gotemba, Shizuoka, Japan.

Although the aging of pets has recently become a social topic, there has been no remarkable change in the aging of pets compared with that in 10 years ago, according to the data from the “National Pet Owner Survey” by the Japan Pet Food Association. However, the veterinarians engaged in small animal clinical practice feel that they have had more occasions to see elderly pets than before. According to 2018 Anicom White Paper, the number of dogs that have insurance at the age of 12 (the oldest in the data) is more than six times that of 10 years ago, which may reflect our feelings. Since those pets have aged through the period in which the quality of breeding improved, veterinary medicine developed, and living environment improved, their health states have been managed on some levels when they visit hospitals. Therefore, it is likely that elderly pets of a new generation presenting with diseases such as sarcopenia/flail and dementia are visiting veterinary hospitals, similar to the situation in human elderly medicine. Here we report the application of a new drug, orexin receptor antagonist, to sleep disorder in dogs associated with aging, which is one of the major causes of anxiety for the owners of dogs belonging to such new-generation elderly pets.

Orexin receptor antagonist (pharmaceutical name: Belsomra) is a new drug discovered and developed by Japanese researchers of MSD in 2014. Belsomra blocks the binding of orexin to its receptors to suppress excessively active wakefulness system, thereby causing the brain to transition from a physiological wakefulness to a sleep state and allow natural sleeps. Seventeen patient dogs aged 13-20 years presenting with sleep disorders (night bark, day/night reversal, wandering, breathing disorder, etc.), which visited our hospital, were administered with 2-5 mg/kg Belsomra once or twice a day. Thirteen of them were complicated with heart (n = 8) or kidney (n = 8) disease, or diabetes (n = 3), including overlapping, and four of them received single administration. Fourteen out of 17 dogs showed improved sleep with which owners were satisfied, but no significant effect was observed in three dogs. Seven out of 14 dogs that showed the improvement stopped taking the drug within 30 days, while four switched to its temporary use only when symptoms were severe, and three required its continuous use. Angiotensin receptor antagonist was effective for one of the three patient dogs for which Belsomra was not effective. In other dogs, angiotensin receptor antagonist was sometimes effective but not in other times.
In small animal clinical practice, GABA receptor agonists are mainly used for sleep disorders in dogs. However, side effects such as wamble and respiratory depression sometimes prevent their use for elderly dogs and also impose mental burdens to owners. Belsomra allows relatively clear awakening from high-quality sleeps and walking after wakeup even for elderly dogs. Therefore, Belsomra prevents elderly dogs from becoming bedridden and is easier to use in veterinarian medicine for elderly dogs complicated with heart or kidney disease compared to GABA receptor agonists.

Orexin receptor antagonist is a new drug developed for sleep disorders in human; thus, there is not sufficient information of indication available in the veterinary field. Nevertheless, Belsomra used in these cases is considered to be a highly effective sleep disorder ameliorating drug available in small animal clinical practice. Its indication requires adequately informing owners as well as careful administration, because it is a new drug.


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2020/01/10 2019年12月 超高齢イヌ睡眠障害治療について 症例発表しました  日本語
No. 41

2019年12月 静岡県獣医師会 東部症例発表会で発表しました 日本語


高齢イヌの睡眠障害にオレキシン受容体拮抗薬を適応させた症例報告

○ 樋渡敬介(御殿場インター動物病院)

 近年ペットの高齢化が、社会的な話題になることがあるが、日本一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」の資料によると、10年前と比較して高齢化に顕著な変化はない。しかしながら、小動物臨床に携わる獣医師は、高齢ペットを診る機会が増えたと実感する。2018年度版アニコム白書によると、12歳(資料最高年齢)で契約しているイヌの頭数が、10年前の6倍超であることは、我々の実感を反映している可能性がある。また、このようなペットは飼育質の向上・動物医療の発展・生活環境の改善を経て、高齢になっている世代であることから、ある程度健康管理された状況から来院するので、ヒト医療の高齢化診療と同様に、サルコペニア・フレイルや認知症などを伴う、新世代高齢ペットが動物病院に来院していると考えられる。

 今回、そのような新世代高齢ペットのイヌで、飼主を悩ます大きな原因の一つの加齢に伴う睡眠障害に、新薬であるオレキシン受容体拮抗薬を適応したので報告する。
 オレキシン受容体拮抗薬(製薬名;ベルソムラ)は2014年にMSDより、日本の研究者によって発見・開発された新薬である。ベルソムラはオレキシン受容体への結合をブロックし、過剰に働いている覚醒システムを抑制することで、脳を生理的な覚醒状態から睡眠状態へ移行させ、本来の眠りをもたらすように作用する。

 症例は当院を来院し、飼主への負担が大きい、睡眠障害(夜鳴き、昼夜逆転、徘徊、呼吸障害など)を呈する、13-20歳の17例を対象に、ベルソムラ2-5mg/kgを1日1または2回投与した。また13例で、心疾患(8例)、腎疾患(8例)、糖尿病(3例)を併発しており<重複症例あり>、単独投与は4例であった。

 17例中14例で、飼主の満足する睡眠改善が得られ、3例で著しい効果が認められなかった。また、改善が認められた症例14例中7例が30日以内に服用を終了し、4例が症状の激しい時だけ一時的な服用へ減薬し、3例で継続的な服用を必要とした。効果の認められなかった3例中1例は、アンジオテンシン受容体拮抗薬の服用で効果が認められ、2例では、効果の認められる時と認められない時があった。

 小動物臨床でイヌの睡眠障害には、主にGABA受容体作動薬が使われているが、ふらつきや呼吸抑制などの副作用のため高齢イヌに対して積極的に適応できない場合もあり、飼主にも精神的負担を強いる。ベルソムラは、質の高い睡眠からの覚醒が比較的明瞭であり、高齢イヌであっても起床後の散歩を可能とする。従って、高齢イヌは、「寝たきり」の状態を防ぎ、かつ高齢イヌで併発しやすい心疾患や腎疾患に対しても、GABA受容体作動薬と比較すると、獣医療の立場からすると導入しやすい薬と考えられる。

 オレキシン受容体拮抗薬は、ヒトの睡眠障害として開発された新薬であり、獣医領域では適応情報が十分ではない。しかしながら、本症例で用いたベルソムラは、小動物臨床おいて有効性の高い睡眠障害改善薬と考えられる。新薬であるので、適応には飼主への十分なインフォームと慎重な投与が必要である。


超高齢 認知症 サルコペニア フレイル 睡眠障害 夜鳴き イヌ 犬 オレキシン ベルソムラ orexin orexin receptor antagonist Belsomra sleep disorders elderly dog sarcopenia flail dementia


2017/12/04 平成29年 静岡県獣医師会 東部症例発表会で発表しました 12月
No. 40

An infrared thermography enables non-invasive diagnoses for distinguishing venomous insect bites and stings.

赤外線サーモグラフィーは 有毒な昆虫の咬傷や刺傷の 非侵襲的診断を可能とする
〜ハチに刺されたイヌの患部を 赤外線サーモグラフィーによって 非侵襲的に診断した1例〜

○ 樋渡敬介1), 土井公明1), 水野理介2), 横須賀 誠3)
1)静岡県開業 2)つくば国際大学医療保健学部 3)日本獣医生命科学大学獣医学部

赤外線サーモグラフィー(TG)は、物体表面温度を画像・可視化するデバイスである。農林水産省は、TGを2009年4月から「一般医療機器」として承認した 注)。動物医療では、これを契機に酪農や養豚など畜産現場で生産性向上を目的として、急速に広まっている。また、テクノロジーの目覚ましい発展にともない、スマートフォン型TGによる評価が可能となり、さまざまな分野で普及している。
 今回我々は、TG( FLIR SYSTEMS, THI-503C-1AMとFLIR ONE for iOS 2nd)を用いて、視診で異常が認められなかったハチに刺されたイヌの患部を、非侵襲的に特定し観察・評価できたので報告する。
症例は、ヨークシャテリア(雌:未避妊、7歳、7kg)。散歩中にハチに刺され、直後から歩行を嫌がるため帰宅した。帰宅後も身体を触れると痛がり、跛行するとの主訴で来院。来院後も身体検査を行おうとするも威嚇したため、TGにて全身をサーベイすると、右後肢パッド部位に明らかな画像異常が認められた。TGによって患部が特定できたため、その部位に負担のかからないように注意しながら保定すると、威嚇することなく患部を詳細に観察することができたが、肉眼では出血や腫脹などの明らかな病変を確定するに至らかなった。治療は、抗ヒスタミン・ステロイド・抗生剤を投与し、帰宅後2時間程で跛行も改善し、治療後5日経過後も患部に異常は認められなかった。
 動物診療において体表の傷や炎症を診察する際、暴れてしまうなどの理由による鎮静・麻酔は、時間と労力を要するのみならず、動物へ負担を強いる場合もある。TGによる動物補助診療は、非侵襲的に観察・評価を可能とし、動物と診療する側への負担も軽減でき、今後さまざまな疾患への応用できることが示唆された。

thermography non-invasive diagnoses dog cat canine feline
赤外線サーモグラフィー 非侵襲 診断評価 イヌ ネコ 犬 猫 動物


2017/07/24 マダニ感染症に関する情報について
No. 39

7月24日(月)産経新聞より抜粋

マダニ感染症、野良猫にかまれ保護しようとした50代女性が死亡 世界初、厚労省が注意喚起

厚生労働省は24日、草むらなど野外に生息するマダニが媒介する感染症に感染した猫にかまれた女性が死亡していたことを明らかにした。厚労省は同日、都道府県や医師会などに注意を喚起する通達を出した。ダニ媒介の「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」で、哺乳類を介して人が死亡したことが判明したのは世界で初めてという。

http://www.sankei.com/life/news/170724/lif1707240038-n1.html


厚生労働省
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169522.html

西日本を中心に報告されていますが 今後東日本も十分に警戒が必要と思われます



2017/04/24 日本紅斑熱が伊豆半島で確認されました 農作業時などダニに注意しましょう
No. 38

日本紅斑熱に伊東の70代男性罹患 マダニ媒介

■沼津アルプス以外で初 伊豆へ広がる恐れ沼津アルプス周辺(山系一帯)でマダニが媒介する日本紅斑熱が集中的に発生し、伊豆半島への拡大が懸念されていた中、昨年11月に伊東市の70代の男性が罹患(りかん)していたことが分かった。伊豆の国市と沼津市では2人が死亡するなど、県内ではこれまでに5人の患者が発生。伊東市の患者は現在、回復しているという。
 県環境衛生科学研究所(静岡市)によれば、伊東市で発生した患者はどこでマダニにかまれたかはっきりしないものの「普段、農作業をしていた人」という。

2017年04月24日 伊豆新聞より抜粋
http://izu-np.co.jp/ito/news/20170424iz0000000019000c.html

日本紅斑熱とは
紅斑熱群リケッチア症は広く世界に分布し、北米大陸にみられるロッキー山紅斑熱、地中海沿岸にみられる地中海紅斑 熱、オーストラリアにみられるクインズランドダニチフスなどが代表的なものである。わが国でも1984 年に患者が初めて報告され、日本紅斑熱とよばれるようになった。本症は紅斑熱群リケッチアの一種 Rickettsia japonica を起因病原体とし、野山に入りマダニに刺咬されることにより感染する。

日本紅斑熱とは - 厚生労働省-戸山研究庁舎HPより抜粋
http://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/448-jsf-intro.html


2017/03/03 ISFM ネコ高血圧ガイドライン 獣医向け
No. 37

2017年3月1日 ISFM よりネコ高血圧ガイドラインが発表されました

ISFM Consensus Guidelines on the Diagnosis and Management of Hypertension in Cats
http://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1098612X17693500

FULL TEXTで入手できます


feline hypertension microcirculation CKD hyperthyroid


2017/02/28 平成29年度 日本獣医師学会学術大会 発表しました 2月金沢
No. 36

アンジオテンシン?タイプ1受容体拮抗薬による点眼は
イヌ乾性角結膜炎の症状を改善させる

○樋渡敬介1),土井公明1),水野理介2),横須賀 誠3)
1)静岡県開業 2)つくば国際大学医療保健学部 3)日本生命科学大学獣医学部

【はじめに】イヌの乾性角結膜炎(KCS)は、その病態から継続的な点眼による治療の必要性が高く、飼主に人的・経済的な負担を強いる疾患である。獣医医療におけるKCSの主な薬物治療は、保水・角膜保護剤、涙液・ムチン分泌物促進剤、免疫抑制剤の投与であるが、眼微小循環改善や抗炎症を目的とした新しい治療法は未だ確立されていない。【目的】今回我々は、KCSの病態の中心に慢性炎症が隠蔽されていると仮定した。そこで、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)であるテルミサルタンの抗炎症・創傷治癒促作用に着目し、テルミサルタン点眼による治療を行なったところKCS症状の改善が認められたので報告する。【方法】症例は、シルマー試験紙で10mm以下の8-15歳のイヌ9頭。各症例は、セミントラ溶液と0.1%ヒアルロン酸点眼薬の混合液(1:1)を、家庭で1日2-3回点眼された。症状の評価は、点眼後1−30日以内に2-3回来院してもらい、眼診療とシルマー試験紙での確認を行なった。
【結果】9頭すべての症例で混合液によるKCSの改善が認められた。シルマー試験では、7症例で涙量増加が観察されたが、重度な2頭の症例で顕著な改善は認めれず、1症例で実施困難で測定できなかった。また、30日以内に飼主による点眼が困難になることはなかった。【考察】レニン・アンジオテンシン系(RAS)には、循環RASと局所RASがある。局所RASは、局所特異的な生理的役割と、炎症や線維化に関与する病理的側面がある。今回、イヌKCSへARB点眼によって涙量増加が認められたことから、眼微小循環改善のみならずARB点眼は角膜の局所RASの抗炎症作用ならびに抗血管新生作用によって創傷治癒を促進したと考えられる。また、今回使用したテルミサルタンにはPPARγ(ペルオキシソーム増殖因子活性受容体γ)が含まれていることから、これが抗炎症作用を増強させたとも考えられる。イヌKCSへのARB点眼薬は、慎重な投与が必要だが、高い抗炎症効果と眼微小循環改善が望めることから、有効な薬剤の一つであると示唆された。

microcirculation dog canine angiotensin ARB telmisartan sarcopenia and frailty
Glymphatic System PPARγ cornea Ophthalmology Keratoconjunctivitis sicca KCS canine Cyclosporine Schirmer test


2017/02/20 海外の科学誌 Journal of Biomedical Opticsに当院の研究が掲載されました
No. 35

当院では、動物の超高齢時代を中長期的に展望して診療に従事しております。
そこで、前にも増して、診察時に動物への負担をより軽減できる非侵襲性(注1)を基盤とした「やさしい検査方法」を介して、生体局所の血流である微小循環調節機構を解析し、臨床に役立つ「橋渡し研究」(注2)を行っています。

今回科学誌に掲載された研究では、チワワの頭蓋骨に存在する大泉門という穴からNIRS(注3)という非侵襲性検査機器を使用することによって、麻酔などの抑制なしに脳の血流や酸素化状態を測定し様々な機能評価が実現可能であることを世界に先駆けて報告しました。 

麻酔などの影響を受けずに「意識下」で脳の血流や酸素化状態を評価することでき、精神的・肉体的負担が最小限であるこの検査は、まだ十分に解明されていないイヌの様々な生理機能(脳を含む他の臓器)や病態解析への応用が可能性であると考えます。

1:生体を傷つけないような、と言う意味
2:医学や生物学における基礎研究の成果の中から有望な知見を選び出し、通常の医薬品や医療機器の開発に要する試験物製造から臨床研究に至るまでの工程を一体的に捉えた開発戦略を策定することにより、効率的・効果的に医療としての実用化につなげることを目的とする医学研究の一領域です。
3:近赤外光を利用して物体内部の状態を非破壊的に調査する手法。本邦の光技術は世界最高水準であり、医療のみならず様々な領域で活用されています。

研究内容は、すべて公開しています。

J Biomed Opt. 2017 Feb 1;22(2):26006. doi: 10.1117/1.JBO.22.2.026006.

Examiner's finger-mounted near-infrared spectroscopy is feasible to analyze cerebral and skeletal muscle oxygenation in conscious Chihuahuas.
Hiwatashi K1, Doi K2, Mizuno R3, Yokosuka M4.

SPIE full text access
http://spie.org/Publications/Journal/10.1117/1.JBO.22.2.026006?print=2&SSO=1

pubmed
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28199475



2017/01/26 動物医療がヒト医療への架け橋になるかもしれない
No. 34

動物医療がヒト医療への架け橋になるかもしれない

NHKスペシャルで昨年10月に放映された、あなたもなれる“健康長寿” 徹底解明100歳の世界において、世界各地で注目されている「百寿者=センテナリアン」の研究が取り上げられました。

その中で、老化を防ぐカギとして“微小循環”が紹介されたことにより、当院の動物医療としての“微小循環”が検索対象となり、いくつかのご質問をいただきました。

番組でも取り上げていましたが、人医療のみならず動物医療においても“微小循環”改善が慢性炎症に繋がる生体に良くない要因を除去・浄化し、老化のスピードを緩めている可能性はあると考えています。

当院で行った加齢・高齢にともなうイヌ・ネコの四肢麻痺(動物のサルコペニア・フレイル)に“微小循環”の改善を目的とした治療の過程で、身体的改善のみならず活動性を含む個体の全体的な改善が確認できました。これは、中枢・末梢器官や組織における局所の微小な血流が改善したことによって、老化した細胞が作り出してしまう慢性炎症を起こすような老廃物をより効率良く取り除いている可能性があると考えています。

また、動物の微小循環の改善で最も恩恵をうけるのは「脳」ではないかと考えています。
脳にはリンパ系が存在しないと考えられていましたが、近年脳では、リンパ系様の機能を果たす「Glymphatic system」という存在が解明されました。「Glymphatic system」は寝ている時に活発に活動をすることも分かってきています。


イヌ・ネコはヒトより睡眠時間が多いことは知られていますが、その理由の一つとして「Glymphatic system」の活動がヒトと違うことがあるかもしれません。

前述した「身体的改善のみならず活動性を含む個体の全体的な改善」で具体的に意識の正常化(顔つきがしっかりしてくることや食事をきちんと食べられるようになることなど)が認められるようになるのは、脳の微小循環を改善したことにより「Glymphatic system」を活発化させより充実した睡眠がとれるようになることからと考えています。

ヒトでは超高齢にともなう認知症が社会的な問題になっています。ヒトの身体構造はもちろんイヌやネコとは違うところもありますが、実際イヌ・ネコの超高齢にともなう認知症も、近年飼主にとっては切実な問題となっています。

私は、現在行っている高齢のイヌ・ネコへの微小循環の改善を目的とした動物医療が、臨床獣医師の間や飼主の間だけでなく、幅広くその状況を共有でき、多くの分野の方に見ていただくことによて、最終的にヒトの健康医療に役立っていく可能性があると考えています。

私のような、ローカルな獣医師が一般動物診療を行いながら研究・情報発信する垣根は低くなる時代になりました。 日本だけでなく世界の方々からご意見ご感想をいただいたりすることで、その方向性や問題点などが、より充実したものとなり、ひと昔前では考えられないことだと実感しています。

今後も動物への非侵襲性評価による微小循環の改善を目的とした、超高齢イヌ・ネコへのやさしい医療がヒトの健康医療に役立つことを願っています。

貴重なご意見をいただく皆様に感謝しております

参考リンク//////////////////////////////////////////////////////

NHKスペシャル あなたもなれる“健康長寿” 徹底解明 100歳の世界
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20161029

NHKオンデマンドで番組を見ることができます
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2016073927SA000/

テルミサルタンによる高齢猫四肢麻痺症状に対する新しい治療戦略:
サーモグラフィーイメージング(TGI)による評価
平成27年度 日本獣医師学会学術大会
http://www.gotembainter.com/column.php?y=2015&m=03

テルミサルタン(ARB)投与が著効を呈した不全麻痺の犬の二例
平成27年度 日本獣医師学会学術大会
http://www.gotembainter.com/column.php?y=2015&m=03

テルミサルタンは、イヌのサルコぺニア-フレイルに有効である
平成27年度 静岡県獣医臨床研究会 共同研究発表
http://www.gotembainter.com/column.php?y=2015&m=03

テルミサルタンによる高齢犬睡眠障害に対する新しい治療:
ウエアラブルデバイスによる評価
平成27年 静岡県獣医師会 東部症例発表会
http://www.gotembainter.com/column.php?y=2015&m=11

獣医微小循環学的治療戦略:テルミサルタンは「やさしい」獣医療を可能にする
動物臨床医学会 年次大会@大阪 ランチョンセミナー要旨<獣医師向け>
http://www.gotembainter.com/column.php?y=2015&m=11

Therapeutic intervention to sarcopenia and frailty to the dogs and cats
Cutting-edge therapeutics of telmisartan for quadriplegic symptom in
advanced age feline: evaluation with thermography imaging.
http://www.gotembainter.com/column.php?y=2015&m=04


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