ARNIのイヌ慢性心不全への効果検討とその適応性
◯土井 公明1)4)、樋渡 敬介2)4)、水野 理介3)4)
1) どいペットクリニック(藤枝市)、2)御殿場インター動物病院(御殿場市)、3)岡山理科大学
アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)エンレスト®︎は国内において「慢性心不全」 を効能及び効果として2020 年6月に承認された。
ネプリライシン(NEP)とレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)を同時に阻害する新規作用機序を有する。エンレスト®は経口吸収されるとサクビトリルとバルサルタンにモル比1対1に分解される。サクビトリルはネプリライシン(NEP)を阻害することで生理活性を有するナトリウム利尿ペプチド(NP)の作用を増大させ、血管拡張、利尿、尿中ナトリウム排泄、交感神経系抑制、心肥大抑制および線維化抑制等の多様な作用を示す。バルサルタンは、RAASを阻害することにより、アンジオテンシンII によって惹起される血管収縮、体液貯留、交感神経活性を抑制し降圧効果を示す。NEPとRAASの同時阻害では、NEP阻害に伴うRAAS活性化がもう一方のRAAS阻害作用により抑制されるため、NEP阻害による利点を最大限引き出すことができると期待されている。今回我々は、既存薬で症状の維持が困難になった慢性心疾患のイヌにARNIを使用し、その効果を検討したので報告する。
イヌ 犬 アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬 ARNI エンレスト サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物 dog canine angiotensin receptor neprilysin inhibitor ARNI Entresto Sacubitril Valsartan Sodium Hydrate
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