旅行中にペットの体調が心配になった飼い主さまへ
楽しいはずの旅行中に、大切なペットの体調が悪くなってしまい、このサイトをご覧になっている飼い主さまもいらっしゃることと思います。きっと今、とても心配で不安な気持ちでいらっしゃることでしょう。
当院は御殿場インター近くという立地から、旅行中のペットちゃんが体調を崩され、急遽受診されるケースが夏の時期に特に多くなります。そのような状況の飼い主さまに、少しでもお役に立てればと思い、このコラムを書かせていただきました。
初診での診察について
人の医療とは異なり、ペットは自分で「どこが痛いか」「いつから調子が悪いか」「普段どんな薬を飲んでいるか」を伝えることができません。そのため、飼い主さまがペットの「代弁者」として、これまでの経緯や現在の状況を詳しく教えていただくことが、適切な診断と治療への第一歩となります。
かかりつけの先生でない私たちにとって、飼い主さまからの情報は何よりも大切な手がかりです。どんな些細なことでも構いませんので、気になることがあれば遠慮なくお聞かせください。
来院前にご準備いただきたい情報
旅行中という慌ただしい状況の中ですが、可能でしたら以下の項目について事前に整理していただけると、より迅速で的確な診察ができます。メモに書いてお持ちいただいても結構です。
基本情報
•年齢(○歳○ヶ月、または推定年齢)
•避妊・去勢手術の有無
•かかりつけの動物病院名(地域も含めて)
治療歴について
•現在治療中の病気はありますか?
•治療中の場合、どのような病気の治療ですか?
•現在服用している薬やサプリメントはありますか? (薬の名前がわからなくても「心臓の薬」「肝臓の薬」「皮膚の薬」など、わかる範囲で結構です)
•お薬をお持ちでしたら、診察時にご持参ください
今回の症状について
•いつ頃から症状に気づきましたか?
•どのような症状ですか? (例:足を痛がる場合は前足か後足か、右か左か、判断できない場合はその旨もお伝えください)
•症状に気づいてから現在まで、悪化していますか?変わりませんか?改善傾向ですか?
旅行について
•日帰り旅行ですか?宿泊予定ですか?
•長期旅行の予定でしょうか?
安全な来院のために
ペットの体調が心配で、一刻も早く病院に連れて行きたいお気持ちは本当によくわかります。しかし、車中でペットを気にかけるあまり、運転に集中できず事故を起こしてしまうケースも実際に起こっています。
ペットが心配なのは、その場にいる皆さん全員に共通の思いです。だからこそ、みんなで役割分担をして冷静に対応することが大切です。
•運転する方:安全運転に集中
•ペットのケアをする方:体調の変化を観察・記録
•情報整理をする方:上記の項目をメモにまとめる
このように役割を分けることで、結果的にペットにとって最適な治療を受けることができます。
診療体制について
当院は獣医師1名で診療を行っており、時間帯によっては診察が立て込む場合がございます。緊急性が高く、より迅速な対応が必要と判断される場合には、ペットの安全を最優先に考え、設備の整った他の動物病院をご紹介させていただくこともございます。
最後に
旅行中という慣れない環境での体調不良は、ペットにとっても飼い主さまにとっても大きなストレスです。楽しい旅行が続けられるよう、一人で抱え込まず、早めの判断で診察を受けることをお勧めいたします。
人と動物が、安心して楽しい旅行の時間を過ごせるよう、心より願っております。
ペットサルコペニア・フレイル研究会 2025 開催報告
2025年7月20日(日)、愛媛県今治市にある岡山理科大学において、
「ペットサルコペニア・フレイル研究会 2025」を開催いたしました。
瀬戸内海を臨む美しいキャンパスに、全国各地から多くの獣医師、動物看護師、研究者、そして企業関係者の皆様にお集まりいただき、ペットの健康長寿に関する貴重な学びの場を共有することができました。
当日ご参加いただきました皆様に、心より厚く御礼申し上げます。
遠方からお越しいただいた先生方、熱心にご発表・ご討議いただいた演者の皆様、そして会場運営にご協力いただいた岡山理科大学獣医学部の関係者の皆様のおかげで、非常に有意義で充実した研究会となりました。
参加者の皆様からは「実践的な内容で明日からの診療に活かせる」「多角的な視点でペットの筋肉減少症について理解が深まった」「他施設との情報交換ができて貴重だった」など、多くの温かいお声をいただいております。
今回の研究会で共有された知見と熱意を基盤として、今後も参加者の皆様と継続的に情報を共有しながら、獣医療におけるサルコペニア・フレイルへの取り組みのさらなる発展に貢献できればと考えております。
高齢化が進むペット社会において、筋肉量減少と機能低下の予防・治療は喫緊の課題です。今回築かれたネットワークを活かし、一頭でも多くのペットの健康寿命延伸に向けて、共に歩んでいけることを心より願っております。
改めまして、ご参加いただいた皆様、ご支援いただいた関係者の皆様に、本当にありがとうございました。
皆様の熱意とご協力により、記憶に残る素晴らしい研究会となりましたことを、深く感謝申し上げます。今後とも、日本獣医サルコペニア・フレイル研究会の活動に変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
日本獣医サルコペニア・フレイル研究会 事務局
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<プログラム>
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ペットサルコペニア・ フレイル研究会 2025
日時: 2025年7月20日(日) 14:00~ 場所: 岡山理科大学・獣医学部・学部棟6階会議室
第1部 発表会(時間は質疑応答含むです) 教育講演
1. 肝疾患における FGF23 を介した多臓器不全
東京大学大学院・農学生命科学研究科・獣医薬理学研究室
堀 正敏 先生 30分
2. 尿由来細胞外微小胞を用いたバイオマーカー開発に向けた取り組み
岡山理科大学・獣医学部・獣医保健看護学科
木村 展之 先生 20分
研究発表(疫学・臨床)
1.サルコペニア・フレイルの予防・改善における飼い主啓蒙の必要性
しまなみ動物治療院
岩田 惠理 先生 15分
2.呼吸器フレイルに挑む:SGLT2 阻害薬投与でADL/QOLが改善した短頭種気道症候群の犬の6例
どいペットクリニック
土井 公明 先生 15分
3.難治性便秘に挑むデュアルアクション:IBAT 阻害薬による高齢・フレイル犬の ADL/QOL マネジメント
御殿場インター動物病院
樋渡 敬介 先生 15分
4.脊椎・脊髄疾患に起因するフレイルに立ち向かう“リハと食”の挑戦
岡山理科大学・獣医学部・獣医学科
糸井 崇将 先生 15分
情報提供
1. サルコペニア・フレイルの予防・改善に関するデジタルヘルスのためのガイドライン2025
岡山理科大学・獣医学部・獣医学科
水野 理介 先生 20分
2025年07月
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