院長コラム

2001/09/01 集合住宅におけるペット飼育のルール作りと危機管理についての提言 -ライフスタイル変化への対応(1)
No. 2

【平成13年 日本臨床獣医学フォーラム発表】
1. はじめに
 近年、人と動物の絆が強まる中、集合住宅(アパート、マンションなど一戸建でないもの)で管理規約を「ペット禁止」から「ペット飼育可」に移行する傾向が強まっています。一方、集合住宅でのペットに関するトラブルも、ここ数年大変多くなっています。国土交通省の「平成11年度マンション総合調査」によると、マンショントラブルの上位にペット問題があげられ、深刻な社会問題になっています(図-1)。こうした事態に対応し、実際に集合住宅でペットを飼育している飼主たちは、マナーの向上を目指すため、東京都が作成した「集合住宅における動物飼育モデル規程」(表-1)や専門家などの意見を参考に、管理組合とともに細かいルールを作成し、それを住民が守ることで事態の改善に努力しているようです。


 しかし、このルール作りに際しペットを飼育していない居住者への配慮や理解を求めるための事項が多く話し合われ、むしろ飼主側の問題、とりわけ飼主の事情でペットが飼育できなくなるといったケースへの対応や災害発生時における対応策、すなわち危機管理についてはあまり触れられていません。


 今後ともライフスタイルの変化にともない、集合住宅では高齢者や単身者によるペット飼育が増加傾向にあり、飼主が様々な事情でペットを飼育できなくなるケースも増えていく事が予想されます。

 今回の報告では、こうした集合住宅におけるペット飼育のルール作りと危機管理について、実際に集合住宅に居住する飼主にアンケートを実施し、現状での認識と課題を整理しました。

(右)図-1:集合住宅の管理組合が経験した主なトラブル(重複回答) 国土交通省「平成11年度マンション総合調査」より
(左)表-1:東京都「集合住宅における動物飼育モデル規定」基本内容12項目

写真1 写真2

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