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平成29年度 日本獣医師学会学術大会 発表しました 2月金沢 2017/02/28
アンジオテンシンUタイプ1受容体拮抗薬による点眼は
イヌ乾性角結膜炎の症状を改善させる

○樋渡敬介1),土井公明1),水野理介2),横須賀 誠3)
1)静岡県開業 2)つくば国際大学医療保健学部 3)日本生命科学大学獣医学部

【はじめに】イヌの乾性角結膜炎(KCS)は、その病態から継続的な点眼による治療の必要性が高く、飼主に人的・経済的な負担を強いる疾患である。獣医医療におけるKCSの主な薬物治療は、保水・角膜保護剤、涙液・ムチン分泌物促進剤、免疫抑制剤の投与であるが、眼微小循環改善や抗炎症を目的とした新しい治療法は未だ確立されていない。【目的】今回我々は、KCSの病態の中心に慢性炎症が隠蔽されていると仮定した。そこで、アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)であるテルミサルタンの抗炎症・創傷治癒促作用に着目し、テルミサルタン点眼による治療を行なったところKCS症状の改善が認められたので報告する。【方法】症例は、シルマー試験紙で10mm以下の8-15歳のイヌ9頭。各症例は、セミントラ溶液と0.1%ヒアルロン酸点眼薬の混合液(1:1)を、家庭で1日2-3回点眼された。症状の評価は、点眼後1−30日以内に2-3回来院してもらい、眼診療とシルマー試験紙での確認を行なった。
【結果】9頭すべての症例で混合液によるKCSの改善が認められた。シルマー試験では、7症例で涙量増加が観察されたが、重度な2頭の症例で顕著な改善は認めれず、1症例で実施困難で測定できなかった。また、30日以内に飼主による点眼が困難になることはなかった。【考察】レニン・アンジオテンシン系(RAS)には、循環RASと局所RASがある。局所RASは、局所特異的な生理的役割と、炎症や線維化に関与する病理的側面がある。今回、イヌKCSへARB点眼によって涙量増加が認められたことから、眼微小循環改善のみならずARB点眼は角膜の局所RASの抗炎症作用ならびに抗血管新生作用によって創傷治癒を促進したと考えられる。また、今回使用したテルミサルタンにはPPARγ(ペルオキシソーム増殖因子活性受容体γ)が含まれていることから、これが抗炎症作用を増強させたとも考えられる。イヌKCSへのARB点眼薬は、慎重な投与が必要だが、高い抗炎症効果と眼微小循環改善が望めることから、有効な薬剤の一つであると示唆された。

microcirculation dog canine angiotensin ARB telmisartan sarcopenia and frailty
Glymphatic System PPARγ cornea Ophthalmology Keratoconjunctivitis sicca KCS canine Cyclosporine Schirmer test
海外の科学誌 Journal of Biomedical Opticsに当院の研究が掲載されました 2017/02/20
当院では、動物の超高齢時代を中長期的に展望して診療に従事しております。
そこで、前にも増して、診察時に動物への負担をより軽減できる非侵襲性(注1)を基盤とした「やさしい検査方法」を介して、生体局所の血流である微小循環調節機構を解析し、臨床に役立つ「橋渡し研究」(注2)を行っています。

今回科学誌に掲載された研究では、チワワの頭蓋骨に存在する大泉門という穴からNIRS(注3)という非侵襲性検査機器を使用することによって、麻酔などの抑制なしに脳の血流や酸素化状態を測定し様々な機能評価が実現可能であることを世界に先駆けて報告しました。 

麻酔などの影響を受けずに「意識下」で脳の血流や酸素化状態を評価することでき、精神的・肉体的負担が最小限であるこの検査は、まだ十分に解明されていないイヌの様々な生理機能(脳を含む他の臓器)や病態解析への応用が可能性であると考えます。

1:生体を傷つけないような、と言う意味
2:医学や生物学における基礎研究の成果の中から有望な知見を選び出し、通常の医薬品や医療機器の開発に要する試験物製造から臨床研究に至るまでの工程を一体的に捉えた開発戦略を策定することにより、効率的・効果的に医療としての実用化につなげることを目的とする医学研究の一領域です。
3:近赤外光を利用して物体内部の状態を非破壊的に調査する手法。本邦の光技術は世界最高水準であり、医療のみならず様々な領域で活用されています。

研究内容は、すべて公開しています。

J Biomed Opt. 2017 Feb 1;22(2):26006. doi: 10.1117/1.JBO.22.2.026006.

Examiner's finger-mounted near-infrared spectroscopy is feasible to analyze cerebral and skeletal muscle oxygenation in conscious Chihuahuas.
Hiwatashi K1, Doi K2, Mizuno R3, Yokosuka M4.

SPIE full text access
http://spie.org/Publications/Journal/10.1117/1.JBO.22.2.026006?print=2&SSO=1

pubmed
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28199475


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